「治してなんぼのもの」
医業類似行為にたずさわる者として、先ず考えを明確にしておかなければならない事を述べさせて戴きます。最近やっとこのオステオパシーと言う言葉も一般に少しは知られる様になってきました。それは、国民の自己の健康に対する関心度が高まったからです。
ところで、オステオパシーはよくカイロプラクティックと対比される事が多いのですが、一般への認知度から言えばカイロプラクティックの方が遥かに上です。それはなぜかと申しますとカイロプラクティックは発祥地のアメリカでも民間療法として発展してきたものであり、オステオパシーは医学界の中だけのことであるため閉鎖的なものであった為と思われます。
しかも、手技療法である為、一部の医師以外は殆どこれを用いなかったので発展や知名度を上げる事の妨げになったと思われます。一方カイロプラクティックは民間療法として発展し、現在アメリカでは準医師扱いの資格と地位を確立しています。
そういう背景の元、日本でも職業確立を目指して各団体が何十年と奔走してきましたが無理だと分かると、今度は自主規正と国際基準に近づく教育課程に力を入れだしています。
一方、オステオパシーの方もカイロプラクティックに追従する様な格好で、一部の団体は国際基準に近づく資格としてMROなるものを作っているようですが、オステオパシーはカイロプラクティックと全く違う基準や資格であります。
カイロプラクティックは職業確立を目指していることからカイロプラクターと言う一つの職業、歯科医師や柔道整復師の様な国家資格を目指しているのであります。それに引き換えオステオパシーの資格は医師そのものでありますから、これを国際基準に近づけるという事は医科大学の教育をしないといけないと言う事になります。これは現在の民間レベルでは少々無理な相談と思えます。講師陣にしてみても、それに対応できる資格や資質のある者が充分いるのか、教育時間も3年で充分であるのか、疑問です。
しかし、私はこれを否定している訳ではありません。それはそれで良いと思っているのですが、日本でオステオパシーを扱うと言う事の本質はもっと別のところに有るのではないでしょうか。先ず、日本で万一オステオパシー医科大学を作る事が出来るとしても50年も100年も先のことになると思います。
オステオパシーの理論・技術とも他の手技療法と格段の差があり追従を許さないという事は、私が20年間の臨床経験で実証済みです。これを医師や治療家が取り入れない手はないと思い広めてきました。私が常々提唱している様に医師が体力的・時間的余裕が無ければ理学療法士や作業療法士がすれば良いし、又、柔道整復師は積極的に取り入れるべきであります。実際、上手く取り入れた者は大成功をしています。
現在でも柔道整復師におけるオステオパシー技術の習得希望者は増えてきています。それは、柔道整復師の教育に問題があるからではないかと思います。柔道整復師は元来、捻挫・脱臼・骨折の応急処置を治療目的として教育を受けてきました。しかし、現実には患者の要求は腰痛・肩こり・膝や肘の関節痛が殆どです。しかしこれらの治療法は習っていないので全くの無知の状態です。ですからもう一度別の所へ習いに行くか、自分で手探りで勉強するかしなくてはなりません。
柔道整復師も健康保険が適用されるからと言って、昔の様に低周波をかけ適当なマッサージで対応していても症状が改善されないようであれば、患者離れが起きるのは必定です。
あるアメリカのカイロ大学出のカイロプラクターが業界紙に書いていたのですが、アメリカのカイロプラクターの質が低下して5〜10回治療を施しても全く症状が改善されないのに平気で何度でも保険適用されるからといって通院させていると言います。しかし、患者の目も厳しくなり治せない治療院は洋の東西を問わず必ず患者離れを起こし廃業に追い込まれるでしょう。まして、自由診療で行なっている民間治療院は確実に結果を出さないといずれ排除されると思われます。
常々私は言っております。医師や治療家は「治してなんぼのもの」であると。
国際基準であるとか資格や学位などというものは実力とは関係ありません。しかし、日本の医学界では理論派・論文重視派が牛耳っていて臨床派はおろそかにされている有様で、優秀な臨床派の脳外科医や心臓外科医はアメリカに流出しているようです。
保守的な医学界ではありますが、アメリカの方がまだ日本に比べると自由でありますから、オステオパシーにしてもカイロプラクティックにしても日本では民間療法レベルの治療家達がアメリカの大学や医師達と交流が図れているのです。
しかるに日本ではオステオパシーやカイロプラクティックが民間療法の範疇にあるにも拘らず、これらはアメリカで医学である事から、日本でも医学界に追従する様な形で独専権や保守的な体制を作り出そうとしているため中々発展しないのだと思います。だからと言って私は(医学界を離れ)エステや整体の広告で「オステオパシーで小顔になる・痩身・O脚を治す」などありますが、これらを容認している訳ではなく苦々しく思っています。
又、オステオパシーの学校や教室も一時のカイロプラクティックの様に出現して至る所にできています。オステオパシーの全テクニックを教科に取り入れている所もあれば、オステオパシーのみならずカイロプラクティックや中国整体・気功等全てを教科に取り入れている学校もあります。
オステオパシーのたった1つのテクニックだけでも確実にものにするのは難しいものです。ましてや、全テクニック、他の手技療法までとなりますと、習得することは不可能と言っても過言ではありません。
第一、教える先生が理論、テクニック共に、確実に自分のものにしてマスターしているかというと大いに疑問です。
私はオステオパシーのテクニックの中でも比較的習得しやすく、ソフトで危険性や副作用のない治癒効果の高いテクニックを選んでお教えしています。勿論その中には指先の鋭敏な感覚や何年も修業が必要なものもあります。
テクニックだけでは有りません。理論も充分納得できる様に解り易く説明しています。理論と臨床(実際の治療)が合致してこそ科学性が立証されるのでありますから。
そして私がお教えするテクニックは、全て私自身が何百何千と言う臨床結果を得たものであります。単純にアメリカ人講師に習ったとか、教本に添って忠実に説明を加えるだけとか、自分が実際に臨床結果を得ていない様なテクニックを講義するようなことはありません。
又、テクニックの原形よりも実際の臨床結果がベストであったものは若干アレンジしてあるテクニックもあります。一例を挙げますと、C.S.T.(頭蓋仙骨療法)と言う神経障害に対応する素晴らしい治療法があります。その中で「腰仙部の解放」と言うテクニックがありますが、これを若干アレンジして椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症等から来る脚・大腿・膝などの痛みやしびれ等の坐骨神経痛を何百となく快復させています。
この様に私は自分で好結果を得たテクニックを解り易く又確実にものに出来るように指導することを心掛けています。むやみに医学だからと言って権威的に難しく講義する事はしないようにしております。
要するにいくら多くのテクニックを習っても、いくら多くの講習を受けても、いかに偉い先生から指導を受けて資格を得ても、患者さんを治してあげなければ何もなりません。治療は患者さんの為にあるのです。「治してなんぼのもの」なのです。
東洋オステオパシー学院 学院長 理学博士
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